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  • 2022.08.30

プロティアン・キャリア教育って??

8月26日の探究アカデミアのトークテーマは、「キャリア教育の最前線を知る。~子どもの未来を切り開く、プロティアン・キャリア教育って、どんな教育??~」だった。

今回のゲストスピーカーは、三田国際学園中学校教頭の内田雅和先生と、一般社団法人Japan Education Labの代表理事である古谷龍二先生、のお二人。

内田先生は、キャリアコンサルタントの国家資格を取得し、プロティアン・キャリア協会のアンバサダーでもある。

古谷先生は、「リアルなキャリア教育をそうぞうする」ことをミッションに掲げ社団法人を立ち上げた。そして私たち探究アカデミー東京校でもキャリア教育の講義を定期的にしてくださっている方です。

さて

二人の紹介が終わり、参加者である中村さんへ質問。

「実際にどのようなキャリア教育を受けましたか?」

それらしい機会はなかった。高校時代は、全体的に大学へ進学する雰囲気だった。文系か理系か決めて、それからは偏差値で志望大学を絞っていった。その際、どういう分野にも進めそうな学部にした。

「中学時代に職場体験はありましたか?」

駅での仕事を見学に行った。走る電車の窓からの景色を見たり、定期券購入時期の窓口で扱う金額の多さに驚いたり、体験というよりアトラクションのような感じだった。

全国の公立中学の98%以上が職場体験を実施しているし、公立高校の85%がインターンシップを実施している。

しかしながら、これらの活動のみをもってキャリア教育としているのではないだろうか?

学歴社会や終身雇用というこれまでの在り方を前提に指導が行われていないだろうか?

将来の夢を描くことに力点が置かれ、働くことの現実や、働くための能力の育成に繋がっているだろうか?

自身が30代、40代、50代をどう生きていきたいかを考えることが大切なのではないだろうか?

これらの問題提起とともに話題は今回のメインテーマである「プロティアン・キャリア」へ。

キャリアとは、個人が創造するもので組織が管理するものではない。自らをハンドリングしていく生きざまなのだ。だから、アイデンティティとアダプタビリティ(企業や社会に求められること)を意識することが重要となる。

20世紀のアイデンティティは「自分が何をすべきか?」だったが、21世紀のアイデンティティは「自分は何がしたいのか?」である。

20世紀のアダプタビリティは「組織に認められる、組織で生き残る」だったが、21世紀のアダプタビリティは「市場価値、市場へのコンピテンシー」である。

キャリアとは仕事上の結果ではなく人生における課程、だから変化に応じて自分でつくっていくものなのだ。

そして、三田国際学園でのキャリア教育の実例のお話へ続く。

三田国際学園では中1.2.3年と学園祭においてプレゼンテーションを実施している。

中1では、出身小学校や塾へインタビュー訪問し、「自分自身」を振り返ることがプレゼンテーマである。

中2では、企業訪問し「興味のある職業」がプレゼンテーマとなっている。

中3では、大学や教授を訪問し「興味のある学問」をプレゼンテーションする。

中3生の中には、大学に断られたが、教授のご自宅でのインタビューに成功した強者もいたそうです。

続いて、古谷先生がキャリア教育の授業デザインについて話してくれた。

古谷先生は「先生主語」ではなく「生徒主語」に重きを置いている。その上で、共感-認知-形成という3段階のフェーズごとのテーマと生徒たちに考えてほしいことを説明してくれた。

更に、職業に対する視野の広さの重要さにも触れる。例えばサッカー選手という職業を考えるとき、2次職業や3次職業として、グランド整備をする職業やユニフォームを作成する職業やチームマネジメントする職業も存在することまで考えてみよう。

キャリア教育とは、早い時期に自身の職業を決めなければいけないということではない。

自身の生き方について、考えること、そしてアウトプットすること、それらの機会をつくること、が大切なのだ。周囲の友人たちと話せる風土をつくることが大切なのだ。

ここで「計画された偶発性理論」を紹介。キャリアの80%は予期せぬ出来事によって形成される。その偶然の出来事を主体性や努力で力にすること。またこの偶発的な出来事を意図的に生み出すべく積極的に行動すること。

この理論を実践するための5つのポイントとして、好奇心、持続性、楽観性、柔軟性、冒険心、が挙げられた。これらの5つのポイントを意識した言動を大人たちがすることで、子どもたちの手本となっていきましょう。

20世紀の教育において、「失敗しないこと」が重要視されていたように感じる。実際に「成功」を望んでいる学校や親御さんが多かったのではないだろうか。

先ほどの「計画された偶発性理論」実践のポイントにもあったように楽観性…「失敗してもOK」という考え方をもっと浸透させたい。失敗したかどうかよりもチャレンジしたこと自体が素晴らしいわけですからね。この空気感が子どもたちの自己肯定感に繋がっていくのではないだろうか?

本日のまとめとして、結果ではなくプロセスが大事という言葉が出た。

楽しむこと、味わい尽くすこと、それらを大人がもっと伝えることをしよう。

高校や大学へ進学するための勉強ではなく、ずっと学び続ける生涯学習というスタンスでキャリア教育というものを考えていきましょう。

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